2018年7月28日土曜日

2018.7/14 RCQS 志航基地營區開放

今年も台湾の營區開放に参加できました。
今年の開放、1つ目の基地は台東・志航基地。他の台湾の基地は日本統治時代に帝国陸海軍が使用していた基地を拡張して使用しているのに対し、この志航基地だけは中華民国時代にイチから建設された飛行場。
飛行場の名前"志航"は先の対日戦争時のエースパイロットであった高志航上校にちなんでなずけられており、現在の台湾では唯一人名が付けられた飛行場となっています。
志航基地は完成当時からF-5の訓練部隊が配備されており、アグレッサーを含む戦術戦闘訓練がここで一貫して行われています。したがって展開を除く戦闘部隊の配備は行われたことがありません。
基地開放当日の朝、早速2聯隊のミラージュ2000が離陸。手前は2004です。
この時期に丁度展開中だったようで、貴重な志航離陸シーンです。

ミラージュの後に離陸した志航所属のF-5によるフォーメーション。
1番機はわかりずらいですが、今回の開放ののために塗ったタイガースペマです。

2聯隊のミラージュ2000が続きます。
現在志航基地展開中の2聯隊ですが、フォーメーションに使用される機体は新竹基地からのリモートでした。
F-16の空中分列式は今年は花蓮の5聯隊が担当。去年すっかりお馴染みとなった馬拉道太陽神が描かれたF-16のフォーメーションです。

1番機は12偵察隊所属で色付きの6830。台東では6677のみの展示の為、複座色付きはフォーメーション参加となったようです。

こちらは前日沢山撮影できた1聯隊のF-CK-1C/D(IDF)。
こちらも今年は1聯隊になったようです。ただし1番機は色付きの1443ではありませんでした。

空中分列式に参加した5機のF-5E/Fが帰ってきました。
46中隊のF-5Fが着陸してきました。46中隊は所謂アグレッサー部隊。以前は戦術訓練中心(TTDC)と呼ばれる戦技研究を目的とした機関が第7聯隊とは別に存在し、46中隊もこの中で独自に運用されていましたが、2005年の改変により現在の7聯隊の前身である737聯隊に編入されました。
写真の5396は塗装こそ制空迷彩ですがシリアルの書き方がアグレッサー仕様(迷彩・銀塗装と同じ書き方)、尾翼には戦術訓練中心のインシグニアが描かれています。

続いて第7聯隊のF-5Eが着陸。F-5FやRF-5Eに比べ通常の単座型F-5Eは胴体が短くまとまった印象を受けます。
上の写真の機体とは違い、第7聯隊の聯隊徽が尾翼に描かれており、こちらが第7聯隊のオリジナルカラー。
ノーズには46中隊の中隊徽は書かれていないもののタンクにはそれが確認できるため、この機体は46中隊の運用だと思われます。。

そして今回の主役であるF-5のスペマ、タイガーIIスペマであるF-5Fの5395が降りてきました。
5395は3機あるうちの最初に塗られた機体です。
タイガー2000塗装を彷彿させる黄色と黒に塗られたハイビジ虎尾翼には台湾のタイガーIIマークが描かれています。
胴体はロービジながら全面に虎模様が描かれており、とても派手な塗装に仕上げてくれています。

第7聯隊のF-5E、5268。こちらは胴体・タンクともにマークがなく、所属部隊がわかりません。
志航基地には46中隊(アグレッサー)の他、44中隊・45中隊が訓練部隊としてF-5E/Fを運用しており、3種戦闘機に乗ることになるパイロットをここで育成しています。

46中隊の部隊徽が入ったF-5Fの5692。機体に部隊徽が入った機体が46中隊を中心に存在しており、このことから46中隊は少なくとも専用に機体を運用していることが推測されます。

5268と同じく何も書かれていないF-5E、5249が降りてきました。
F-5の後期型にはシャークノーズとなっており、台湾で残るF-5はすべてこのシャークノーズとなっています。
台湾ではF-5を300機以上所有していましたが、その大半が退役済み。その最後の一派がここ志航基地の7聯隊及び花蓮の12偵察隊で運用されています。

こちらのF-5E、5290には胴体に46中隊の部隊徽が入れられています。
このフライトでF-5Eに部隊徽が入れられていた機体はこの5290のみでした。

F-5全機が降りた後は、IDFのソロでもが間髪入れずにはじまります。
台東は午前基地側が逆光になる台湾では珍しい基地。
デモフライトは基地の反対側に背中を見せるので、非常に恵まれた条件で撮影できます。

湿度も高いのかベイパーが沢山出ます。
ソロデモを行うのは台中清泉崗の3聯隊。今回は28作戦隊の1428が担当しました。

IDFの背中。左右で異なる迷彩が施されてているのがIDFの迷彩の最大の特徴。
背中を見るのとその違いは一目瞭然です。

A/Bを焚いて旋回上昇。3聯隊の色付き"台中鷹"が青空に溶け込みます。

続いては2聯隊のミラージュ2000の機動飛行。
早速背中を見せてくれました。美しいデルタ翼にはミラージュ2000標準の迷彩が施されています。

デルタ翼ならではの特徴ある機動が持ち味のミラージュ2000のソロデモ。
今回もその編隊ぶりを十分堪能できました。

ミラージュ2000も捻る際にベイパーが出てくれました。
デルタ翼の機体はなじみが浅く、まだまだ新鮮に思います。

ロールを打つ際に腹に光が当たります。腹には2聯隊が去年11月まで名乗っていた499TH TFWがそのまま残っていました。
ミラージュ2000導入20周年を迎えた去年を残している扱いなのか、のちに替えるのかは不明ですが。。。

続いては4聯隊のF-16Aのソロデモ。

早速背中を見せてくれます。ラウンデルがハイビジになっているのはF-16でもこのスペマだけ。
青に白に輝く太陽マークを見ると、嬉しい気分になれます。

ベイパーを出しながら急上昇。


去年開催された岡山・花蓮・新竹に使用された機体と同じスペマですが、使用される機体が21作戦隊所属の6609から22作戦隊所属の6635に変わっていました。
今年に入って塗られたそうで、去年のスペマを見事再現された「去年のスペマ」は不思議に思えます。

A/Bを全開にして垂直上昇。

最後は雷虎小組に曲技飛行。
カラースモークが台東の空に映えます。

赤、青、白の3色は中華民国国旗の色。AT-3の色もこの3色となっており、統一感があります。

黒い雲を背景にギアを出して航過飛行。雨雲が近づいていろようです。

今回は去年の岡山同様演目を短縮してブレイク。AT-3は攻撃型としては性能が出ず練習機としての活躍となった飛行機。
そんな飛行機でここまでの演技が魅せられる雷虎小組は技術的にも相当なものと言えます。
丁度ブレイクしたこの0849は元攻撃型AT-3Bで活躍していた機体です。 

午後からは基地内で撮影。
残念ながら午後のフライトはキャンセルとなってしまいました。

台東・志航基地はエプロンが狭く、機体が所狭しと並んでいます。
通常3機種の戦闘機も単座・複座の2種類が展示されますが、志航では各1種類のみです。


AT-3は雷虎ではない空軍官校の教練仕様機、0854が展示されていました。
元々AT-3Bとして製造された機体で、のちに教練機として編入された機体の内の1機です。

空軍救護隊のS-70が展示されています。本来はデモフライトも行われる予定でしたが、残念ながらキャンセル。
7016はレーダーが付いたタイプ。去年岡山、花蓮で展示された一般的なレーダーなしタイプと印象が異なります。

6聯隊第20電戦大隊のE-2K。
今回は唯一撮影できていなかった2505が飛来していました。 

5聯隊・第26作戦隊のF-16A。
機体は去年の花蓮基地基地開放で展示された6677でしたが、ステーション1,2,8,9にAIM-9、ステーション3,7にAIM-7、ステーション5にALQ-184、ステーション4,6に370galタンクと花蓮以上に豪華な仕様でした。

空軍官校のT-34。

2聯隊のミラージュ2000-5DI。
複座型で唯一スペマが施されている2055が展示されていました。


1聯隊・第1作戦隊のF-CK-1D(IDF)、岡山で展示された1624が展示されていました。
地上展示は1聯隊の通称"台南鷹"の色付き。
同じく色付きで単座の1443は不参加で台南でおやすみとのこと。またお目にかかりたいものです。
去年花蓮で展示された色付き、1627は色が落とされ馬公基地で天駒任務に就いているようです。

10空運大隊のC-130は1315が展示。
こちらもデモフライトを行う予定が、キャンセルされてしまいました。

空軍反潜大隊のP-3C。お馴染みの3311が展示されていました。

F-5Eにもスペマが施されていました。スペマになったのは5291。
全長がF-5Fに比べ短いF-5Eは同じスペマでも違った雰囲気です。
AGM-65(マーベリック)を装備しての展示でした。

F-5Fはノーマルの制空迷彩、7聯隊の5402が展示されていました。
オープニングではF-5Fの制空迷彩機はすべて46中隊の機体でしたが、こちらは中隊徽なしの機体。

雷虎小組のAT-3もフライトを終えて展示されていました。

4聯隊・21作戦隊のF-16。尾翼は去年が814空戦勝利から80年の節目であることを記念してデザインされたものです。
6635は今年になって塗装された不思議なスペマです。格好よさは相変わらず。

3聯隊・28作戦隊のスコードロンシップ、1428。
デモチームに使用される機体は3聯隊の通称"台中鷲"の色付きです。
赤・白・青の国旗3色でデザインされています。

IDFを正面から。 

朝のフライトを終えたF-5Fの5395。午後のフライトにはフライトする予定だったのでしょうか。

胴体全体に描かれた虎の模様がカッコいいです。
  
迷彩が施された46中隊(アグレッサー)のF-5F。
5416のシリアルも黄縁に赤文字と、東側を連想させる塗装となっています。

今回の營區開放に合わせて、3機のF-5がスペマになりましたが、3機目の5403はハンガー内に展示されていました。

ハンガー内の3機目はノーマル塗装のF-5F、5382。


志航基地では観客と機体が近く、大きい機体では翼が最前列の上を通過します。
近すぎて手前ではレンズに機体が入りきらない程。

フォッカー50がタキシングしてきました。フォッカー50がとてつもなく大きく見えます。

基地解放では相変わらず人員輸送のためのC-130がフライトします。
ROCAF屈指のロケーションといわれる志航基地の最高の環境で撮影するC-130はまた違った良さがあります。。

飛行展示に使用された飛行機が、エプロンを空けるためにタキシングでシェルターに向かいます。
3聯隊の美しい"台中鷲"に光が当たります。

ミラージュ2000、デモに使用された2020は昨年、デモ用にペイントされながらスペアに回っていた機体。今回は去年デモを行った2017号機がスペアに回されました。

F-16の6635もタキシー。凝ったデザインで飽きさせないデザインが素敵です。マイナーチェンジ個所としてわずかに下部の赤のふくらみが控えめになっていました。
インティークには去年とは異なり22作戦隊の部隊徽が入れられています。

雷虎小組AT-3もタキシーでシェルターへ。0817

0820
0840
0839
0843までの機体は練習機として製造された機体です。

 0844からはAT-3Bとして製造された機体なので、この0846は元AT-3Bということになります。

0849も同じくAT-3Bとして製造された機体。


地上展示された機体はトーイングでシェルターへ向かいました。
雷虎として使用されない機体は尾翼の文字が筧橋となっています。
"筧橋"は杭州の旧空港があった筧橋で空軍軍官学校の元となる中央航空学校が開校したのに由来しています。

ミラージュ2000の2055もシェルターへ。

地上展示されたF-5Eスペマ、5291はシェルターではなくエプロンで待機。
夜の部へ向けて準備がすすめられます。

代わりに出てきたのは46中隊(アグレッサー)の迷彩機、5272。
魅力的なベトナム迷彩のF-5Eが終わりがけに登場しました。

機体全体にベトナム迷彩を纏ったカッコいいF-5E。
フライトしている姿を見てみたいものです。

志航基地はゲートガードもF-5です。
1281はF-5A。塗装は初期の塗装が施されています。

キャノピーは埋められていました。

F-5Bの1105も展示。こちらも同様の初期塗装で展示されています。
志航基地の訓練部隊は当初から戦闘部隊から引退した機体が集められる場所で、
昔はこれらの機体が、現在は第一線を退いたF-5E/Fが訓練部隊に配備されています。


F-5Eの初期型である5223。こちらも初期型の為志航に集められた機体。
レドームがシャークノーズでない機体は一線を退き、ゲートガード・ 学校教材・モニュメント・デコイなどになって台湾各地に点在しています。
今では貴重となった7聯隊の色付き大隊徽が鮮やかにペイントされていました。

志航基地營區開放では台湾では珍しい夜の解放があり、続けて参加しました。
 主役はなんといってもF-5Eのスペマ、5291。ハンガーやステージのライトをキャノピーが拾い光っているように見えます。
中華民国空軍の機体を夜撮する機会はほとんどなくとても貴重なチャンスと言えます。


空軍反潜大隊・34中隊のP-3C。屏東北ではハズレ枠のロービジですが、夜になると一味違います。
夜空に浮かぶグレーの機体が素敵です。

第10空運大隊のC-130。同じく地上展示されていた1315がひっそりとたたずんでいました。
暗闇の中にベトナム迷彩の綺麗な色が浮かび上がり幻想的でした。

 
ステージ前に並べられた3種のF-5。手前からノーマルのF-5F・5402、46中隊のベトナム迷彩F-5E・5272、虎スペマのF-5E、5291。
背景には気球ショーの為に気球が組みあがり始めています。


気球と背景にF-5Eの5291。


アグレッサーの5272は夜のみの展示となりました。

台東は台湾の熱気球の聖地であり、毎年熱気球フェスタが開催されています。
志航開放ではそんな気球の街・台東にあやかり、F-5を並べた気球ショーが夜に開催されるようです。
夜空に光る熱気球を背景に佇む3機のF-5。すべてが終わった後、3機が一番輝く撮影タイムが始まります。


昼間に展示しなかった46中隊・ベトナム迷彩のF-5E、5272。46中隊の機体には数機このような迷彩機が存在します。
緑の迷彩、赤い文字。いかにもアグレッサーらしい魅力的な塗装の機体を夜撮できる、贅沢な時間です。
夜に浮かび上がるベトナム迷彩のF-5。最高のひと時です。


隣にはF-5F、5402が展示中。夜に浮かぶ制空迷彩は台湾でF-5が多数活躍した時の基本パターンから変わっていない迷彩。
デジタルの時代まで残り、ライトアップされたこの美しいF-5の夜の写真が残る、、当時誰が想像したでしょうか。

そして志航基地營區開放の主役、スペマのF-5E、5291。昼とは違い背景が暗く、機体の塗装が浮かび上がる幻想的な空間に。
特に黄色い尾翼はライトアップされて一際輝きを放っていました。

胴体全体に施された虎柄、そして黄色い尾翼が夜に浮かび上がります。ハイビジのラウンデル、特別に白くペイントされたシリアルも含めて完成度が高いスペマです。
7聯隊の方はロービジながら丁寧に胴体まで塗装していただき素敵な塗装に仕上げてくれました。
長年台湾の領空を守ってきた老兵はスペマを纏い、この夜最高のひと時を過ごしたに違いありません。


0 件のコメント:

コメントを投稿